2020年、新型コロナウイルスが広がり始めたころは、
「外出して大丈夫なのか?」
「何を消毒すればいいのか?」
「マスクはいつまで必要なのか?」
など、分からないことばかりでした。
それから数年がたち、新型コロナを取り巻く状況も感染対策の考え方も変わりました。
2023年5月8日から、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の5類感染症へ移行。
現在は、国が一律に日常生活での感染対策を求めるのではなく、その人の体調・生活環境・流行状況などに合わせて判断することが基本です。
だからといって、
「もう何もしなくていい」
という意味ではありません。
新型コロナは現在も流行を繰り返しており、厚生労働省によると、5類移行後は夏と冬に流行する傾向が見られています。高齢者や一部の基礎疾患がある人などでは、現在も重症化リスクに注意が必要です。
この記事では、現在知っておきたい新型コロナの感染経路と、普段の生活で無理なくできる感染対策を整理します。
- 新型コロナの主な感染経路は3つ
- 一番意識したいのは「換気」
- マスクは「いつでも必須」ではなく場面で使い分ける
- 手洗いは今でも基本的な感染対策
- 消毒ばかりに神経質にならなくてもいい
- 次亜塩素酸水を手や顔へ吹きかけるのはやめる
- 「免疫力を上げる食べ物」を探し回る必要はない
- 人との距離は「必ず2m」ではなく状況で考える
- 発熱や喉の痛みがあるときは無理して外出しない
- 新型コロナ陽性後は10日間ほど周囲への配慮を
- 家族が感染したらどうする?
- 高齢者や基礎疾患がある人は特に注意する
- ワクチンは「感染しないため」だけではなく重症化予防の選択肢
- 2025年から「急性呼吸器感染症(ARI)」として流行をまとめて見る仕組みに
- 私が今なら続ける感染対策は5つ
- まとめ|新型コロナ対策は「全部やる」から「必要な場面で使い分ける」へ
新型コロナの主な感染経路は3つ
新型コロナの主な感染経路は現在、
エアロゾル感染
飛沫感染
接触感染
の3つとされています。
感染した人が、
呼吸する。
話す。
咳をする。
くしゃみをする。
歌う。
といった行動をすると、ウイルスを含んださまざまな大きさの粒子が鼻や口から放出されます。
大きな粒子は比較的早く落下しますが、小さな粒子はエアロゾルとして空気中にしばらく漂うことがあります。
そのため現在は、
「人の唾液にだけ注意する」
というより、
換気の悪い場所で同じ空気を長時間共有しないこと
も大切な感染対策になっています。
一番意識したいのは「換気」
今の感染対策で、私が特に意識したいと思うのが換気です。
新型コロナではエアロゾル感染が起こるため、換気の悪い屋内ではウイルスを含む粒子が空気中へたまりやすくなります。
厚生労働省も、手洗いなどの手指衛生とともに換気を基本的な感染対策として有効としています。
例えば、
窓を開ける。
換気扇を利用する。
人が多い部屋ではこまめに空気を入れ替える。
といった方法です。
特に、
人が多い。
会話が多い。
長時間同じ場所にいる。
換気が悪い。
という条件が重なるほど、感染対策を意識したほうがいいでしょう。
逆に屋外で、人との距離が十分あり、短時間すれ違うだけのような状況では、屋内で長時間過ごす場合とは条件が違います。
「外か中か」だけではなく、
人の多さ・距離・時間・換気
をまとめて考えると分かりやすいです。
マスクは「いつでも必須」ではなく場面で使い分ける
現在、マスクの着用は個人の判断が基本です。
「外に出るなら必ずマスク」
「屋内なら全員マスク」
という一律のルールではありません。
ただし、厚生労働省は次のような場面ではマスクの着用を推奨しています。
医療機関を受診するとき。
高齢者施設などを訪問するとき。
通勤ラッシュなど、混雑した電車やバスを利用するとき。
また、新型コロナの流行期に、高齢者など重症化リスクの高い人が混雑した場所へ行く場合にも、マスクは感染対策の選択肢になります。
咳や喉の痛みなどの症状がある場合も、周囲へ感染を広げないためにマスクを使う意味があります。
「常に着ける・まったく着けない」
の二択ではなく、
必要な場面で使う。
という考え方が現在には合っています。
手洗いは今でも基本的な感染対策
手洗いも引き続き大切です。
厚生労働省によると、流水で15秒手を洗うだけでも手指についたウイルス量は減り、石けんなどで10秒もみ洗いして流水で15秒すすぐことで、さらに大きく減らすことができます。
特に、
帰宅したとき。
食事の前。
調理前後。
トイレのあと。
鼻をかんだあと。
などは手を洗う習慣を続けたいところです。
手洗いがすぐできない場面では、アルコール消毒液も利用できます。
ただし、
手を洗ったあとに必ずアルコール消毒もしなければならない
というわけではありません。
厚生労働省も、きちんと手洗いをした後にさらに消毒液を使う必要はないと案内しています。
やり過ぎて手が荒れてしまうより、基本的な手洗いを丁寧に続けるほうが現実的です。
消毒ばかりに神経質にならなくてもいい
2020年ごろは、
ドアノブ。
買ってきた商品。
宅配便。
洋服。
スマートフォン。
など、身の回りのあらゆる物を消毒していた家庭も多かったと思います。
接触感染は現在も感染経路の一つですが、新型コロナではエアロゾル・飛沫・接触という複数の経路があります。
日常生活では、
換気・必要な場面でのマスク・手洗い
を基本に考えればいいと思います。
テーブルやドアノブなどを清掃する場合も、家庭用洗剤などで対応できるものがあります。厚生労働省では、一定の界面活性剤を含む家庭用洗剤も物品のウイルス対策に利用できると案内しています。
「家じゅうを毎日消毒しないと危険」
と考える必要はありません。
次亜塩素酸水を手や顔へ吹きかけるのはやめる
消毒については、特に注意したいものがあります。
消毒剤などを人の体へスプレーする方法です。
厚生労働省は、次亜塩素酸水などについて、目や皮膚への付着や吸入による健康への影響が考えられるため、人がいる空間への噴霧を推奨していません。
手指消毒には、
石けんによる手洗い。
手洗いできないときは、手指用として承認されたアルコール消毒剤。
を使用するのが基本です。
「体へ吹きかければウイルスを防げる」
という考え方は避けましょう。
「免疫力を上げる食べ物」を探し回る必要はない
新型コロナが流行し始めたころは、
納豆。
ヨーグルト。
ゴーヤ。
緑茶。
発酵食品。
など、いろいろな食品が「免疫力アップ」として紹介されました。
もちろん、野菜や大豆製品、発酵食品などを普段の食事へ取り入れること自体は問題ありません。
ただ、
特定の食品を食べれば新型コロナに感染しにくくなる
と考えるのは避けたほうがいいでしょう。
基本は、
バランスのよい食事。
十分な睡眠。
適度な運動。
体調管理。
です。
感染対策としては、それとは別に、
換気。
手洗い。
必要な場面でのマスク。
などを組み合わせます。
「免疫力を上げる食品」を大量に買うより、普段の生活を整えるほうが続けやすいと思います。
人との距離は「必ず2m」ではなく状況で考える
以前は「人との距離を2m空ける」という表現をよく見かけました。
現在は日常生活で、
常に2mを確保しなければいけない
というルールにはなっていません。
大切なのは、
混雑。
換気。
会話。
滞在時間。
周囲に重症化リスクの高い人がいるか。
といった状況を合わせて考えることです。
例えば、
空いている公園を歩く。
家族だけで屋外を散歩する。
と、
換気の悪い小さな部屋で大人数が長時間会話する。
では条件がまったく違います。
日常生活を過度に制限するのではなく、感染が広がりやすい条件を避けるという考え方が現実的です。
発熱や喉の痛みがあるときは無理して外出しない
感染対策で一番分かりやすいのは、
体調が悪いときに人へうつさないこと。
です。
発熱。
喉の痛み。
咳。
強いだるさ。
などがある場合は、無理して仕事や外出をするのではなく、まず体調を確認します。
新型コロナに感染した場合、厚生労働省は発症日を0日目として5日間は外出を控えることを推奨しています。
さらに、5日目にも症状がある場合は、
熱が下がる。
痰や喉の痛みなどの症状が軽くなる。
その状態から24時間程度たつ。
までは外出を控えて様子を見ることがすすめられています。
ただし現在は、法律による一律の外出禁止ではありません。
本人や周囲の状況を考えながら対応します。
新型コロナ陽性後は10日間ほど周囲への配慮を
新型コロナでは、発症後5日を過ぎれば感染性ウイルスの排出量は大きく減少するとされています。
ただし、発症後7〜10日間ほど感染性ウイルスを排出することがあります。
そのため厚生労働省は、発症から10日間が経過するまでは周囲への配慮を案内しています。
例えば、
不織布マスクを利用する。
高齢者など重症化リスクが高い人との接触を控える。
換気をする。
といった方法です。
「5日たった瞬間から何も気にしなくていい」
ではなく、
最初の5日間は特に注意し、その後もしばらく配慮する。
と覚えておくと分かりやすいです。
家族が感染したらどうする?
家族が新型コロナに感染しても、現在は家族が「濃厚接触者」として法律上の外出自粛を求められる仕組みではありません。
ただ、家庭内では同じ空間で長時間過ごすため感染する可能性があります。
できる範囲で、
換気する。
タオルの共用を避ける。
手洗いをする。
症状のある本人はマスクを使う。
高齢者など重症化リスクが高い家族との接触を減らす。
といった対策を取ります。
家族全員が別々の部屋で生活するのが難しい家庭も多いと思います。
完璧にやろうとするのではなく、できる対策をいくつか組み合わせるくらいで考えるほうが現実的です。
高齢者や基礎疾患がある人は特に注意する
新型コロナは多くの場合軽症で経過しますが、誰にとっても同じリスクというわけではありません。
厚生労働省は、
高齢者。
免疫不全のある人。
末期腎不全。
慢性閉塞性肺疾患など一部の基礎疾患がある人。
などは重症化リスクに注意が必要としています。特に後期高齢者では疾病負荷が高い傾向があります。
そのため、
家族に高齢者がいる。
介護施設へ面会に行く。
病院へ行く。
という場面では、普段より少し感染対策を意識する意味があります。
同じ感染対策でも、
誰と会うのか
によって重要度が変わるということですね。
ワクチンは「感染しないため」だけではなく重症化予防の選択肢
新型コロナワクチンについても、2020〜2022年ごろとは制度が変わっています。
厚生労働省では現在、新型コロナワクチンについて、感染した場合の入院や死亡などの重症化を予防する効果が報告されているとしています。
接種対象や時期、費用などは年度によって変わる可能性があります。
接種を検討する場合は、
厚生労働省。
住んでいる自治体。
かかりつけ医。
などの最新情報を確認するのがおすすめです。
特に重症化リスクが高い人は、自分に必要かを医師へ相談してもいいでしょう。
2025年から「急性呼吸器感染症(ARI)」として流行をまとめて見る仕組みに
新型コロナだけでなく、
インフルエンザ。
RSウイルス感染症。
そのほかの呼吸器感染症。
にも共通する対策があります。
2025年4月からは**急性呼吸器感染症(ARI)**が感染症法上の5類感染症として定点サーベイランスの対象になりました。
ARIとは特定の病名ではなく、急性の呼吸器症状を起こす感染症をまとめた考え方です。
厚生労働省も、急性呼吸器感染症について、
手洗い。
マスク。
換気。
などの基本的な対策が有効としています。
つまり、
「コロナだけを特別扱いする」
というより、
風邪・インフルエンザ・新型コロナなど呼吸器感染症全体に共通する習慣を続ける
という考え方に変わってきています。
私が今なら続ける感染対策は5つ
現在の情報を踏まえて、自分の生活に取り入れるなら次の5つで十分だと思っています。
① 部屋の換気をする
② 帰宅後や食事前には手を洗う
③ 咳や喉の痛みがある日は人へうつさない行動を取る
④ 医療機関・混雑した場所など、必要な場面でマスクを使う
⑤ 高齢者など重症化リスクが高い人と会うときは少し慎重になる
特別な健康食品を買う。
家じゅうを毎日消毒する。
消毒剤を体へスプレーする。
といったことはしません。
日常生活を普通に送りながら、感染が広がりやすい場面だけ少し対策を強める。
今はこのくらいの考え方が続けやすいと思います。
まとめ|新型コロナ対策は「全部やる」から「必要な場面で使い分ける」へ
新型コロナが国内で広がり始めた2020年と現在では、感染対策の考え方が大きく変わりました。
現在は感染症法上の5類感染症となり、日常生活での感染対策は個人の判断が基本です。
とはいえ、新型コロナがなくなったわけではありません。
感染経路は主に、
エアロゾル感染。
飛沫感染。
接触感染。
です。
だからこそ、
換気。
手洗い。
必要な場面でのマスク。
体調不良時には外出を控える。
重症化リスクが高い人への配慮。
といった基本が今でも役立ちます。
大切なのは、
「いつでも全部やる」ではなく「必要な場面で適切な対策を選ぶ」こと。
過度に怖がらず、かといって油断もしない。
インフルエンザなどほかの呼吸器感染症も含めて、自分と周囲の人の体調に合わせた対策を続けていきたいと思います。


